『超歌舞伎』とは? 初音ミク×中村獅童のコラボが生み出す“新時代の歌舞伎”の世界!

『超歌舞伎』とは? 初音ミク×中村獅童のコラボが生み出す“新時代の歌舞伎”の世界!

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2016年に誕生して以来、その斬新な演出で賛否両論を巻き起こしながらも、ついには歌舞伎の殿堂・歌舞伎座での上演を果たした「超歌舞伎(ちょうかぶき)」

始まった当初は「バーチャル・シンガー『初音ミク』が出ている若者向けのイベント」でしたが、現在は歌舞伎の本丸である『歌舞伎座』での上演を果たすほどの人気コンテンツになりました。

ここまで来るには、超歌舞伎を牽引してきた歌舞伎役者・中村獅童なかむらしどうと最新のデジタル技術者たちの並々ならぬ努力と苦労があったのですが、ほかにも様々な人たちの「思い」が込められています。

獅童いわく「最先端の流行を取り入れてお客様を楽しませるのが歌舞伎」という、400年前から続く歌舞伎の本来の姿を現代の技術で体現した超歌舞伎」の隠された正体と、その楽しみ方を深掘りしてご紹介します

超歌舞伎とは、「古典芸能」と「最新デジタル技術」の融合

古典芸能歌舞伎と最新テクノロジーの融合

超歌舞伎とは、今や世界中で絶大な人気を誇るバーチャルシンガー・初音ミクが歌舞伎俳優たちと同じ舞台の上で共演する、最新のデジタル映像技術を駆使したまったく新しい歌舞伎公演のことです。

最大の特徴は、3D映像技術などを使い、デジタルな存在の初音ミクがあたかも舞台上にいるかのように役者たちと芝居をしたり、踊ったりすること。

しかし、ここで注目すべきは技術の凄さだけではありません。 ”最新のデジタル技術”と”古典芸能”という一見相反するものが一つになることで、お互いがさらに高みに昇華しているということなのです。

江戸時代に生まれた歌舞伎は、“普通の庶民が楽しむ娯楽”として若者たちに熱狂的な人気があり、当時の最先端メディアであった“浮世絵”でも、役者を描いたものが大人気となっていました。

しかし、400年という年月を経て、”古典芸能”となった歌舞伎は“伝統”という大きな権威を持つことになりますが、同時に”新しい時代の変化”に対応しにくくなってしまいます。

それでも、近年の歌舞伎は”伝統”を壊すことなく”新しい時代の変化”へ対応しようと様々な試みを続けてきましたが、なかなか現代の若者の心をがっちりと掴むところまでは至っていません。

ところが、2016年に”ネット文化の祭典”とも呼ばれる巨大イベント『ニコニコ超会議』の企画の一つとして始まった『超歌舞伎』は、これまでの歌舞伎の常識では考えられないほどの若者の圧倒的支持を受けることになり、ついには歌舞伎の本丸と言える”歌舞伎座”での公演を実現したのです。

伝統の「権威」という壁を乗り越え、この「奇跡の舞台」はどのようにして生まれたのでしょうか? その裏側に隠された、作り手とファンの熱いドラマを紐解いていきましょう。

始まりは中村獅童と初音ミク、異色の巡り合い

超歌舞伎は、千葉・幕張メッセで行われるインターネット文化の祭典「ニコニコ超会議」を運営する「ドワンゴ」側からの「初音ミクと共演してほしい」という提案から始まりました。

実体のない存在である初音ミクとの共演という異例のオファーを、中村獅童はどのように思ったのでしょうか。

中村獅童の想い「歌舞伎はロックだ」

超歌舞伎発起人である中村獅童は、常々「歌舞伎はもともと、その時代の最先端を取り入れ、常識を打ち破る『かぶく(=ロックな)』精神から生まれたものだ」ということを語っています。

伝統を守るために、ただ古いものをなぞるのではなく、現代の最先端技術と融合させることで、歌舞伎が本来持っていた、大衆を熱狂させるエネルギーを取り戻したい。そんな獅童の”歌舞伎への思い”こそが、彼がこの前代未聞のプロジェクトを担うきっかけとなりました。

2019年、歌舞伎専門劇場での初上演を果たした南座での千穐楽で、獅童は「歌舞伎とデジタルで何ができるんだって…白い目で見られたこともありました」と涙ぐみながら告白しています。多くの壁や困難を乗り越えたことで、”超歌舞伎”が本物と認められるようになった瞬間でもありました。

バーチャル・シンガー『初音ミク』とは?

初音ミク』とは、歌詞とメロディーを入力するだけで、誰でも歌声を合成できる「ボーカロイド(ボカロ)」と呼ばれる画期的な音楽ソフトのことです。

2007年に緑色のツインテールの少女を描いたパッケージで発売されてから、ニコニコ動画などでその歌声とビジュアルが爆発的人気となり、多くの”ボカロP”と呼ばれるクリエイターたちによって数々の名曲が生み出され、今では日本のみならず全世界にその人気は広がっています。

彼女の活躍の舞台は3D技術を駆使したライブコンサートやテレビCM、ゲーム、様々なアーティストとのコラボレーションにまで広がっており、ついに日本が誇る伝統芸能”歌舞伎”の世界にまで進出してきたのです。

伝統を守るためにあえて原点を見つめ直そうとする中村獅童と、ジャンルを問わずあらゆる可能性を秘めた初音ミクがこの時代にコラボするのは必然だったのかもしれませんね。

上演の歴史:幕張メッセから檜舞台への道

観客がペンライトで参加する超歌舞伎の舞台

『超歌舞伎』の始まりは、千葉・幕張メッセで行われるインターネット文化の祭典「ニコニコ超会議」で上演された『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』という演目です。

サブカルチャーのイベントでありながら、歌舞伎の名作『義経千本桜』と初音ミクの名曲『千本桜』の世界観をベースにした重厚な物語は、初音ミクを目当てに集まったファンからも大喝采を受けました。

会場では「萬屋よろずや!」(獅童)「初音屋はつねや!」(ミク)だけでなく、「電話屋でんわや!」(NTT)という大向う(掛け声)まで飛び出し、数千人の若者がペンライトを振りながら熱狂する光景は、歌舞伎関係者にも大きな衝撃を与えました。

その後もニコニコ超会議の恒例イベントとして実績を積み上げ、京都・南座や福岡・博多座という伝統的な劇場での興行も実現。2023年にはついに歌舞伎座の本興行として上演されるという歴史的快挙を成し遂げました。

さらにその勢いは止まらず、2025年には「大阪・関西万博」の舞台にも登場。日本が誇る伝統と最先端技術の融合を、世界に向けて発信しました。

ネット発のイベントが、伝統の殿堂、そして世界の檜舞台へと駆け上がっていく。これは歌舞伎400年の歴史の中でも、特筆すべき進化の物語です。以下に、そのキセキ(軌跡・奇跡)を振り返ります。

場所・イベント 上演演目 トピック
2016年 ニコニコ超会議
(幕張メッセ)
今昔饗宴千本桜
(はなくらべせんぼんざくら)
超歌舞伎の誕生。初音ミクと中村獅童の初共演が実現。
2017年 ニコニコ超会議
(幕張メッセ)
花街詞合鏡
(くるわことばあわせかがみ)
ミクが花魁(おいらん)役に挑戦。
2018年 ニコニコ超会議
(幕張メッセ)
積思花顔競
(つもるこいゆきのせきのと)
ミクが初の「二役」に挑戦(お姫様と精霊)。顔見世舞踊も披露。
2019年 ニコニコ超会議
京都・南座
今昔饗宴千本桜(再演)
八月南座超歌舞伎
第1作目をリニューアル。初の伝統的な劇場での公演が実現。
2020年 ニコニコネット超会議
(オンライン)
夏祭版 今昔饗宴千本桜 コロナ禍で幕張中止。「ネット超会議2020夏」にて無観客配信で実施。
2021年 ニコニコネット超会議
京都・南座
御伽草紙戀姿絵
(おとぎぞうしこいのすがたえ)
ミクが「初の悪役」に挑戦
春はオンライン開催。秋に南座公演を実施。
2022年 ニコニコ超会議
& 4都市ツアー
永遠花誉功
(とわのはなほまれのいさお)
3年ぶりに幕張リアル開催が復活
春の幕張で長男・陽喜がサプライズデビュー。
夏には初の全国ツアーも開催。
2023年 東京・歌舞伎座 十二月大歌舞伎
今昔饗宴千本桜
ついに歌舞伎の殿堂「歌舞伎座」の本興行で上演。ここが「第1期超歌舞伎」の終わり。
次男・夏幹(なつき)が初お目見得し、兄弟共演が実現。
2025年 大阪・関西万博
EXPOホール「シャインハット」
今昔饗宴千本桜
Expo2025 ver.
IOWN技術で台湾と大阪をつなぐ遠隔共演を実現。
陽喜・夏幹も「白狐の精」として出演。
2025年 東京・歌舞伎座 十二月大歌舞伎
世界花結詞

(せかいのはなむすぶことのは)
10周年の集大成となる演目。ここから新たなる「第2期超歌舞伎」の始まり。

【超歌舞伎10年のキセキをYouTube動画で紹介!】

超歌舞伎ならではの見どころ

1. 世界最先端の「デジタル演出」

超歌舞伎の舞台裏には、NTT研究所が開発した最新テクノロジーが惜しみなく投入されています。
まるでSF映画のような技術用語が並ぶのも、この演目の大きな特徴です。

  • Kirari!(キラリ): 映像をリアルタイムで切り抜き、あたかもそこにいるかのように投影する超高臨場感通信技術
    Kirari!の技術解説図

    Kirari!の技術解説図

  • AnotherMe(アナザーミー): 本人の個性まで再現した「デジタルツイン」を生成し、もう一人の中村獅童が登場。
    Another Meの技術解説図

    Another Meの技術解説図

  • IOWN(アイオン): 離れた場所を光の速さと低遅延でつなぎ、遠隔共演を実現する次世代ネットワーク。
    IOWN(アイオン)技術解説図

    IOWN(アイオン)技術解説図

  • 高精細3D点群メディア処理: 空間まるごとを3Dデータ化し、映像でありながらリアルな奥行きと立体感を再現する技術。
  • 耳スピーカー(PSZ技術): 耳をふさがずに、芝居の生音もイヤホンガイド解説も両方聞こえる不思議なスピーカー。

公演のたびにこれらの最先端技術が投入され、進化し続けているのも超歌舞伎が多くの若者に支持されている要因なのかもしれません。

2. 観客も参加する「演出」

歌舞伎はそもそも「大向う」と呼ばれる掛け声で芝居の途中で観客も参加できるというものですが、超歌舞伎ではさらにパワーアップしています。観客はアイドルのライブのようにペンライト(サイリウム)を持つことができ、見せ場や役者の掛け声に合わせてペンライトを振り回し掛け声をかけます。すると、その光と声援の力によって、舞台や役者が変化していくのです。

たとえば『今昔饗宴千本桜』のクライマックスでは、忠信(獅童)が「数多(あまた)の人の言の葉と桜の色の灯火を!」と叫ぶと、その声に応えて観客のペンライトが一斉に振られ、その光がエネルギーとなって悪の精霊によって枯れてしまった御神木の千本桜を蘇らせるのです。

これは、歌舞伎の伝統(大向う)と現代の若者文化が融合した、新たな参加型エンターテイメントではないでしょうか?

3. ”脇役”たちを”主役”に抜擢

超歌舞伎のもう一つの功績は、実力がありながら普段は脇役に徹している俳優たちに、”主役”として舞台に立つ場を与えたことも忘れられません。

通常の歌舞伎公演では、主役になれるのは名のある家系に生まれた”御曹司”と呼ばれる人たちです。もちろん彼らは子供の時から厳しい稽古を積んだうえでその場に立つわけですが、脇役の役者の子供や一般家庭から入ってきた役者が主役を張ることはほぼ不可能になっています。

獅童自身も歌舞伎の家に生まれながら、父親が早く役者をやめてしまったことで後ろ盾もなく苦労してきた経験を踏まえて以下のように語っています。

いつかは自分も大きな役をやりたいと思う方もいるわけじゃないですか。やっぱり夢も希望も全部失っちゃったら、表現として死んじゃうっていうか、主役だけギラギラしててもダメなんですよねお芝居って。
頑張れば 活躍できるんだっていうような、やっぱりそういうような 現状をもっともっと作っていかないと。
アナザースカイ(日テレ)

実際に獅童は弟子筋にあたる澤村精四郎(さわむらきよしろう)(旧:國矢)に、悪役・青龍などの重要なお役を勤めさせているほか、2019年の「リミテッドバージョン」では獅童に代わって主役を勤めさせています。”幹部”ですらない名題俳優が、南座という舞台で主役を勤めるというのは異例でした。

序列が物を言う歌舞伎の世界で、『超歌舞伎』で獅童が見せた試みが歌舞伎界にどのような影響を及ぼしていくのか…注目ですね。




技術者から見た『超歌舞伎』とは!?

『超歌舞伎』を支える根幹といえるのが、NTTによる最新のデジタル技術です。しかし実際に歌舞伎の舞台へ導入していく中では、意外なポイントで多くの調整や知られざる苦労があったようです。ここでは、実際に関わったNTT技術者・柿沼氏が「超歌舞伎ナビ(2022年8月13日放送・BS松竹東急)」で語ったコメントから、特に「Kirari!」に関する要点をまとめてみます。

1. 分身の術──リアルタイムで役者だけを抽出する技術

通常、映像から人物だけを切り出す際には「ブルーバック」と呼ばれる単色背景を使います。しかし Kirari! では特別な背景を用意する必要がなく、舞台のセットそのままの状態で役者だけをリアルタイムに抽出し、別のスクリーンへ投影できます。舞台上に“分身した獅童”が登場する演出は、この技術があってこそ実現しているのです。

ただし言葉ほど簡単ではなく、毎回異なる舞台セットや照明に合わせて細かな調整が必要になります。抽出そのものが成功しても、舞台が暗いと映像が見えにくくなるため、ライティングやカメラ位置の調整を限られたリハーサル時間で行うのは非常に大変だったと語っています。

2. 技術の進化──歌舞伎という古典文化が最新技術を加速させる

『超歌舞伎』に対して、「現代の最新技術によって、古いものである歌舞伎がアップグレードされている」という印象を持つ方は多いでしょう。しかし、開発者の柿沼氏はもう一つの重要な側面を強調しています。

それは、「技術もまた、歌舞伎によって鍛えられている」という点です。 観客は毎回「今年はどんな新しい技術が見られるのか」と期待していますし、技術者としても「新しいものをどんどん出していきたい」という意欲があります。毎年プラスアルファの工夫を凝らすことで、結果として技術そのものが更新され、新しくなっていきます。

超歌舞伎という実践の場があるからこそ、技術者側も新たな挑戦を続け、進化できているのです。

3. 超歌舞伎は“文化と科学”が互いに進化し続ける場所

柿沼氏の話から見えてくるのは、「最新技術が古典芸能を支えている」のではなく、「古典芸能が最新技術を育てている」一面が存在するということです。獅童も「技術者とケンカすることもあった」と語っているように、この二つが融合するまでには多くの試行錯誤がありました。しかし、その結果としてお互いが進化し続け、私たち観客に新たな興奮と感動を提供してくれているのは間違いありません。

「超歌舞伎」が、日本の魅力を世界へ発信する優れたコンテンツを表彰する『Cool Japan Matching Award』でグランプリとマッチング賞の二度の受賞を果たしている事実が、その成功を何よりも証明しています。

超歌舞伎の裏側:ミクはどう動いているか図解




『超歌舞伎』を生み出した“陰の立役者”たち

最新技術と中村獅童の情熱が融合して生まれた『超歌舞伎』ですが、この奇跡の舞台が実現するためには、忘れてはならない「陰の立役者」たちがいました。

亡き師・十八代目 中村勘三郎の「魂」

中村獅童が歌舞伎で主役を張ることができるようになった背景には、十八代目 中村勘三郎じゅうはちだいめ なかむらかんざぶろうの存在が大きく影響しています。

コクーン歌舞伎や平成中村座など、劇場の枠も作品の枠も軽々と飛び越える新しい歌舞伎を次々と提示し、「歌舞伎はもっと自由でいい」「外へ出ていくべきだ」という空気を業界全体へ浸透させた勘三郎。そんな勘三郎は、まだ若手としてくすぶっていた獅童を見出し、自身の公演で大役に抜擢するなど、役者人生を左右する大きな影響を与えました。

勘三郎が生涯にわたり新たな歌舞伎に挑み続けたように、獅童もまた古典芸能とデジタルの融合という前例のない表現へ挑戦しました。そして、勘三郎が若き獅童を主役に押し上げたように、獅童自身も弟子を主役に抜擢する「リミテッドバージョン」を行うなど、勘三郎の精神は“超歌舞伎のDNA”として確かに受け継がれていると言えるでしょう。

獅童は50歳を超えて出演したテレビ番組「僕らの時代」の中で、勘三郎への憧れを口にしないようになったと言っています。もう勘三郎に憧れた若手役者ではなく、その位置を超えて自らの手で道を切り開く立場を目指すようになったということのようですね。

観客と共にペンライトを振る松竹社長・迫本淳一

超歌舞伎を実現させた際の松竹のトップである迫本淳一(さこもと・じゅんいち)社長(現会長)の存在も欠かせません。2004年、経営が悪化し赤字続きだった松竹の再建を託されて就任して以来、果断な改革と企画力で会社を黒字へ導いてきました。さらにコロナ禍では、劇場が止まり収入が途絶えた役者を救うため、若手への補償や新たな出演機会の創出など、全社を挙げての救済策を実行。まさに危機に強いリーダーでした。

そんな迫本社長を、獅童も深く信頼しています。獅童が「こういうことをやりたい」と持ち込むと、必ず真剣に耳を傾け、実現のために動いてくれる存在でした。「舞台を見て感動すると、真っ先に楽屋に来て『よかったよ』と言ってくれる」と獅童が語るほど、現場に寄り添うトップだったのです。

そして幕張メッセでは、社長自ら観客と一緒にペンライトを振っていたことも知られています。そんな理解者がいたからこそ、“超歌舞伎”は本当に世に生まれ、成長できたのかもしれませんね。

初音ミクと歌舞伎をつなげた“超歌舞伎ファン”の力

獅童が何度も口にするのが「超歌舞伎はファンが育ててくれた」という言葉です。ニコニコ超会議から始まった舞台が南座まで広がった背景には、毎回全力で声援し、ペンライトを振り続けてくれた観客の存在がありました。

南座では、歌舞伎通の年配客と初音ミクファンの若者が同じ客席でペンライトを振り、ミクファンが色の変え方を教える微笑ましい光景も。獅童はこれを「人と人が触れ合う、とても良い光景だった」と語っています。

コロナ禍で掛け声ができなかった時も、客席のペンライトが舞台を支えました。獅童は「心がつながった瞬間だった」と振り返り、超歌舞伎の醍醐味は客席との一体感にあると強調します。

初音ミクを愛する若いファンと、伝統を守ってきた歌舞伎ファン。 この二つの文化をつないだ観客こそが、超歌舞伎を大きく前進させた“隠れた功労者”なのです。

超歌舞伎の上演情報

超歌舞伎』の上演情報を紹介します。

2025年12月 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」

2025年は松竹130周年の記念イヤーとなりましたが、その最後の月に超歌舞伎が2年ぶりに歌舞伎座で上演されます。

📀 2023年に歌舞伎座でも上演された、記念すべき超歌舞伎初演作『今昔饗宴千本桜』(2016年上演)の映像作品はコチラ👇️

📀 2017年にニコニコ超会議で上演された、超歌舞伎第二弾『花街詞合鏡』の映像作品はコチラ👇️

まとめ:超歌舞伎は「過去」と「未来」をつなぐ祝祭のステージ

初音ミク歌舞伎――一見まったく異なる二つの文化が出会ったことで生まれた『超歌舞伎』。そこには、中村獅童のロックな歌舞伎観NTT技術者たちの挑戦松竹・迫本社長の決断力、そして亡き十八代目 中村勘三郎の精神までもが折り重なっています。

さらに、初音ミクを愛するファン歌舞伎を支えてきた観客という二つのコミュニティが、ペンライトを通じて肩を並べたこと。その光景こそが、「超歌舞伎」が、文化と文化、人と人をつなぐ場になっている証と言えるでしょう。

歌舞伎のを守りながら、最先端テクノロジーで未来へと踏み出していく『超歌舞伎』。それは、400年前から続く「かぶく」精神を、現代にアップデートした姿なのかもしれませんね。




参考資料

【書籍📚】
「ほうおう 2026年1月号」
「歌舞伎座筋書 令和五年十二月『十二月大歌舞伎』」
【ウェブサイト🌐】
歌舞伎美人
超歌舞伎公式サイト
歌舞伎オンザウェブ
『我慢の時代があるから、爆発できる』―歌舞伎界の異端児・中村獅童が果たす使命(Yahoo News)
【テレビ📺】
カンブリア宮殿『エンタメを極めて120年ピンチに攻める!松竹』(2022年7月28日放送・テレ東)
「超歌舞伎ナビ(2022年8月13日放送・BS松竹東急)」
「土曜ゴールデンシアター『超歌舞伎』(2022年8月13,20日放送・BS松竹東急)」
アナザースカイ(2023年8月4日放送・日テレ)
ボクらの時代(2023年2月5日放送・フジテレビ)

※本記事の制作について
一部AIを用いたライティング・画像編集支援を行っていますが、最終的な編集・事実確認・表現調整はすべて人の手で行っております。

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