尾上松緑の歌舞伎家系図!紀尾井町の若旦那は豪快で情に溢れた苦労人

尾上松緑の歌舞伎家系図!紀尾井町の若旦那は豪快で情に溢れた苦労人

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歌舞伎役者・四代目尾上松緑おのえしょうろくは、若くして父祖を亡くしながらも、二代目尾上辰之助を名乗っていた頃は、市川新之助いちかわしんのすけ(現・海老蔵)、尾上菊之助おのえきくのすけとともに平成の三之助と呼ばれて人気を博し、現在の歌舞伎界では力強い荒事など豪快な演技が魅力の役者です。

この記事では、四代目尾上松緑歌舞伎家系図プロフィール、父や息子など松緑家の役者や、本人が席亭(主人)を勤める有料の動画配信「紀尾井町家話」や舞台への出演情報などを紹介していきます。

歌舞伎役者「尾上松緑」の家系図

四代目尾上松緑を中心とした歌舞伎家系図は以下のようになっています。
四代目尾上松緑を中心とした歌舞伎家系図

四代目尾上松緑の祖父は、七代目松本幸四郎の三男・二代目尾上松緑。東京・千代田区の紀尾井町きおいちょうに住んでいたことから、「紀尾井町の松緑さん」と呼ばれており、大向うの掛け声も「紀尾井町」と呼ばれていた。

父は初代尾上辰之助で、死後に三代目尾上松緑を追贈された。

上記家系図にはないが、初代尾上松緑は江戸時代中期に活躍した役者で、養子が三代目尾上菊五郎になっている。

四代目松緑は元宝塚女優の珠希かほと2001年に結婚し、長女と長男(三代目尾上左近)を設けたが、2016年に離婚。

歌舞伎役者「尾上松緑」のプロフィール

四代目尾上松緑のプロフィールを以下に紹介します。

四代目 尾上松緑(おのえ しょうろく)
生年月日
昭和50年(1975)年2月5日
本名
藤間あらし
屋号
音羽屋(おとわや)
家紋
【定紋】四ツ輪に抱き柏
初お目見得
昭和55年(1980)1月 国立劇場
山姥やまんば」の怪童丸で初お目見得
初舞台
昭和56年(1981)2月 歌舞伎座
幡随長兵衛ばんずいちょうべえ」の長松などで二代目尾上左近を名乗り初舞台
襲名歴
昭和56年(1981)2月 二代目尾上左近
平成3年(1991)5月 二代目尾上辰之介
平成14年(2002)5・6月 四代目尾上松緑
主な歌舞伎の役
「勧進帳」義経・弁慶
「寿曽我対面」曽我五郎
「蘭平物狂」蘭平
「義経千本桜」忠信実は源九郎狐
「船弁慶」静御前・知盛の霊
「神霊矢口渡」頓兵衛
「車引」梅王丸
「寺子屋」松王丸
「毛抜」粂寺弾正
「魚屋宗五郎」宗五郎
「阿古屋」岩永左衛門
「人情噺文七元結」左官長兵衛
「泥棒と若殿」伝九郎
「あんまと泥棒」泥棒権太郎
「土蜘」僧智籌実は土蜘の精
「太刀盗人」すっぱの九郎兵衛
「戻篭色相肩」浪花の次郎作実は石川五右衛門
「南総里見八犬伝」犬飼現八
「御浜御殿」富盛助右衛門
「天一坊大岡政談」大岡越前
「金閣寺」松永大膳
受賞歴など
平成7年(1995) 歌舞伎座賞
平成10年(1998) 眞山青果賞新人賞
平成11年(1999) 松竹会長賞
平成17年(2005)重要無形文化財(総合認定)認定
伝統歌舞伎保存会会員
平成26年(2014)第35回松尾芸能賞優秀賞
令和3年度(2021)第72回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞
その他
平成元年6月に日本舞踊・藤間流家元 六世藤間勘右衞門を襲名
公式サイト・ブログ
四代目尾上松緑・六世藤間勘右衛門公式サイト

 

若くして父と祖父を亡くして苦労する

四代目尾上松緑(本名:藤間あらし)は、昭和50年(1975)に初代尾上辰之助の長男として生まれます。

祖父・二代目尾上松緑は、勧進帳の弁慶を1600回演じたことでも有名な七代目松本幸四郎の三男であり、長男・十一代目市川團十郎、次男・八代目松本幸四郎とともに戦後間もない昭和の歌舞伎界で活躍しました。

偉大な歌舞伎役者の家系に生まれたあらし少年は、4歳で初お目見得を果たし、6歳になるときに二代目尾上左近を襲名して歌舞伎役者としてのスタートを切りますが、12歳のときに父が40歳の若さで早世し、その2年後には祖父も亡くなるという悲劇に見舞われます。

後ろ盾を失ったことは大きな痛手ですが、父の旧友でもあり音羽屋の盟主である七代目尾上菊五郎に師事しながら、歌舞伎役者として修行時代を過ごすことになります。
 

平成の三之助として活躍

菊五郎の元で修行しながら、平成3年(1991)16歳で二代目尾上辰之助を襲名します。

かつて、昭和時代の歌舞伎人気に火を点けた存在として、六代目市川新之助(後の十二代目市川團十郎)、四代目尾上菊之助(後の七代目尾上菊五郎)、初代尾上辰之助の三人を「三之助」と呼んでいましたが、この三人の同世代の息子たち、十一代目市川新之助(現・市川海老蔵)、五代目尾上菊之助、二代目尾上辰之助は「平成の三之助」と呼ばれて新たな時代の歌舞伎ファンを魅了することになります。

二代目辰之助は、平成14年(2002)、27歳のときに四代目尾上松緑を襲名することになり、このとき亡き父に三代目尾上松緑を追贈しています。

襲名披露公演では祖父が当たり役としていた「勧進帳」の弁慶を披露し、特徴的な力強い目や力のある声、荒事らしい豪快さを見せ、祖父や父に負けない役者としての器を見せつけます。

荒事では「車引」の梅王丸、「寺子屋」の松王丸、「毛抜」の粂寺弾正といった大役をこなすスケールの大きさを持ちながら、「魚屋宗五郎」では情感あふれる演技を見せるなど、菊五郎に師事した成果を発揮しています。

また、日本舞踊の藤間流家元・藤間勘右衛門ふじまかんえもんとして舞踊にも定評があり、「吉野山」での忠信の踊りは称賛されました。
 

「紀尾井町家話」気さくな人柄で魅了

平成29年(2017)から歌舞伎座5階のギャラリーで「紀尾井町夜話」というトークイベントを開催して、毎回100人余りの観客を前に歌舞伎に対する思いや自身のプライベートな話、楽屋での裏話などを独特の語り口で面白おかしく聞かせていました。

新型コロナウイルスの感染拡大後は、オンラインで配信する「紀尾井町夜話」 特別編「紀尾井町家話きおいちょうやわ」 が、令和2年(2020)6月から始まり、有料のトークイベントながら、現在(2022/5/31)まで73回を数える人気配信サービスとなっています。

ゲストには歌舞伎俳優だけでなく、裏方さんたちや歌舞伎以外の芸能人なども登場し、美味しいお酒(自前)を飲みながらざっくばらんに話をするという内容ですが、席亭(主人)松緑の気さくで飾らない人柄と、細やかな気配りの中で普段は聞けないような様々な内容が楽しめます。

後輩の役者さんたちもここではあまり気張らずにいろいろと普段感じていることを口に出せるようですが、これは若くして父と祖父を亡くして苦労した経験を持つ松緑だからこそ、若い役者さんたちの苦労を理解して情の通った交流ができるからなのかもしれません。

現在、長男の三代目尾上左近も同じ舞台に立つことも多くなり、松緑自身も歌舞伎の舞台中で重要な役をこなすことが多くなっています。

それでも、未だに先輩たちから怒られることも多いようですが、まだまだ発展途上の尾上松緑の今後のさらなる活躍が期待されますね。

>>「紀尾井町家話」の次回配信の詳細はコチラ

尾上松緑ブログに注目!

SNSで情報発信する歌舞伎役者も多くなりましたが、尾上松緑も自身のブログを持っています。

歌舞伎役者のブログと言えば、市川海老蔵のブログなどは毎日のように更新されることで有名ですが、松緑のブログはその内容の濃さに驚かされます。

歌舞伎に関することだけでなく、世間の出来事や事件などについても独自の見解を変に飾ることなく述べており、尾上松緑という人間がどういうことを感じているのかが伺えるものなのです。

新型コロナウイルスのクラスターが発生した事件に関して、かなり激しい言葉で非難した内容が物議を醸したこともありますが、それは舞台に対する真剣な姿勢があるからこその強い言葉だったのでしょう。

興味のある方は、ぜひ一度尾上松緑のブログを読んでみてはいかがでしょうか?

>>尾上松緑ブログはコチラ



尾上松緑の家族は?

歌舞伎役者・四代目尾上松緑の祖父・二代目尾上松緑、父・、そして跡を継ぐ長男・三代目尾上左近について紹介します。
 

祖父は十一代目團十郎の弟・二代目尾上松緑

四代目松緑の祖父・二代目尾上松緑は、大正2年(1913)に弁慶役者として有名な七代目松本幸四郎の三男として生まれます。

長男は十一代目市川團十郎、次男は初代松本白鸚という歌舞伎界のエリート中のエリートという環境の上に、歌舞伎の神様と呼ばれた六代目尾上菊五郎に預けられ、菊五郎劇団の中でも主要な立役として活躍します。

父・七代目幸四郎から受け継いだ荒事の要素と、師である六代目菊五郎の世話物に日本舞踊藤間流の家元としての舞踊にも秀で、その芸風の広さとおおらかさで多くの人に愛されていました。

大東亜戦争で出兵しますが、終戦後は亡き六代目菊五郎の跡をついで菊五郎劇団を率いて活動します。

長男の初代尾上辰之助に大きな期待を寄せますが、その長男が自身より先に亡くなるという悲劇に見舞われます。

孫の二代目尾上左近(四代目松緑)を心配しながら、長男が亡くなった2年後に世を去ることになります。享年76歳でした。
 

父は「三之助」として活躍した初代尾上辰之助

四代目松緑の父・初代尾上辰之助は、昭和21年(1946)に二代目尾上松緑の長男として生まれます。

同時期に活躍した、市川新之助(後の十二代目市川團十郎)、尾上菊之助(現・七代目尾上菊五郎)の三人で「三之助」と呼ばれるブームを巻き起こし、歌舞伎人気を大いに高めることに貢献しました。

父親譲りの豪快で巧みな演技に加えて舞踊でも卓越していたものを持ち、二代目松緑の後継者として大いに期待されていたが、生来の大酒飲みもあって体を壊し、40歳の若さで惜しまれて世を去ることになります。
 

長男・尾上左近も若手役者として奮闘中

四代目松緑は平成13年(2001)に元宝塚女優の珠希かほと結婚(現在は離婚)、平成18年(2006)に長男の藤間大河が生まれます。

大河少年は、第四期歌舞伎座の建て替え前に行われた「歌舞伎座さよなら公演」中の2009年10月に初お目見得を果たすと、2014年6月には新しくなった歌舞伎座で三代目尾上左近を名乗り初舞台を踏みました。

令和4年現在16歳で、まだまだ若さと未熟さを感じさせますが、父のいない舞台にも立つなど多くの舞台に立つようになり、実際の舞台での経験を通して飛躍していくことが期待されます。

尾上松緑の出演情報

尾上松緑の歌舞伎の舞台への出演情報を紹介します。

歌舞伎座「六月大歌舞伎」 

2022年6月の歌舞伎座「六月大歌舞伎」で尾上松緑は、第一部の「車引」で松王丸、第二部「勢獅子」では鳶頭を勤めます。

歌舞伎座「六月大歌舞伎」 ※公演終了
日時
令和3年(2022年)6月2日(木)~27日(月)
※休演日 9日(木)、20日(月)
劇場
歌舞伎座
第一部 午前11時〜
演目(一)
菅原伝授手習鑑すがわらでんじゅてならいかがみ 車引くるまびき
配役
【梅王丸】坂東巳之助
【桜丸】中村壱太郎
【杉王丸】市川男寅
【藤原時平】市川猿之助
【松王丸】尾上松緑
第二部 午後2時15分〜
演目(二)
勢獅子きおいじし
配役
【鳶頭】中村梅玉(6/17〜6/20休演)
【鳶頭】尾上松緑
【鳶の者】坂東亀蔵
【鳶の者】中村種之助
【鳶の者】中村鷹之資
【鳶の者】尾上左近
【手古舞】中村莟玉
【芸者】中村扇雀
【芸者】中村雀右衛門

>>歌舞伎座「六月大歌舞伎」の詳細はコチラ

国立劇場 令和4年7月歌舞伎鑑賞教室

2022年7月の国立劇場では、「紅葉狩もみじがり」が上演され、尾上松緑は主役の平維茂を勤めます。長男の尾上左近も従者左源太で出演します。

国立劇場 令和4年7月歌舞伎鑑賞教室
日時
令和4年(2022年)7月3日(日)~27日(水)
【開演】 11時、14時30分
【親子で楽しむ歌舞伎教室】
20日(水)〜26日(火)11時〜
19日(火)〜26日(火)14時30分〜
【社会人のための歌舞伎鑑賞教室】
8日(金)、20日(水) 19時〜
【外国人のための歌舞伎鑑賞教室】
27日(水) 11時〜、14時30分〜
※休演日 7日(木)、18日(月・祝)
チケット発売日
電話・インターネット予約開始:6月13日(月)10:00~
窓口販売:6月14日(土)~
劇場
国立劇場(大劇場)
演目(一)
歌舞伎の見方
解説
中村萬太郎
演目(二)
紅葉狩もみじがり
出演
【余吾将軍平維茂】尾上松緑
【更科姫実ハ戸隠山の鬼女】中村梅枝
【侍女野菊】中村玉太郎
【従者左源太】尾上左近
【従者右源太】(交互出演)
坂東亀蔵
中村萬太郎
【山神】(交互出演)
坂東亀蔵
中村萬太郎
【局田毎】市川高麗蔵

国立劇場 令和4年7月歌舞伎鑑賞教室の詳細はコチラ



まとめ:豪快さと情に溢れた歌舞伎役者・尾上松緑

歌舞伎役者・四代目尾上松緑の歌舞伎家系図やプロフィールなどについて解説してきましたが、いかがでしょうか?

名優・二代目尾上松緑を祖父に持ち、父・初代尾上辰之助も「三之助」と呼ばれ人気を博しましたが、二人とも四代目松緑がまだ10代の少年のときに亡くなってしまいます。

しかし、そんな逆境にも負けずに尾上菊五郎の元で研鑽を積み、辰之助時代には、市川新之助、尾上菊之助とともに「平成の三之助」と呼ばれるほどになりました。

荒事だけでなく人情味ある世話物や舞踊にも秀でて、現在の歌舞伎の舞台では大きな役を勤めることも多くなりました。自身が席亭を勤める動画配信「紀尾井町家話」では、気さくな人柄と細やかな配慮を感じさせて人気を集めています。

自身の菊五郎劇団での活躍も去ることながら、息子の尾上左近も着実に成長するなど、これからの四代目尾上松緑の舞台にぜひ注目してみてくださいね。

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