尾上右近の家系図紹介!鶴田浩二を祖父に持つカレー好きな歌舞伎のプリンス
歌舞伎俳優・尾上右近は、その家系図を辿ると、曽祖父に音羽屋の名優・六代目尾上菊五郎、祖父に昭和の人気スター・鶴田浩二、父親に歌舞伎伴奏音楽「清元」の七代目清元延壽太夫を持つという、歌舞伎界のサラブレッドと言っていい役者です。
歌舞伎の役者としてだけでなく、清元の唄い手として、七代目清元栄壽太夫の名を持ち、歌舞伎界でも前例のない「二刀流」として活躍し、テレビのバラエティ番組にも数多く出演しては、その独特の個性的なキャラクターで人気急上昇中です。
この記事では、新しい歌舞伎のプリンス・尾上右近の家系図を紹介し、その魅力的なキャラクターの秘密に迫っていきます。
目 次
尾上右近の家系図はこれ!曽祖父・六代目菊五郎、祖父・鶴田浩二
歌舞伎役者・尾上右近を中心とした家系図は以下のようになります。
曽祖父の六代目尾上菊五郎は昭和初期に活躍した名優であり、現在活躍する七代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助、女優の寺島しのぶを排出した歌舞伎の名門・音羽屋の尾上菊五郎家に続いています。
母方の祖父にあたる鶴田浩二は、昭和の銀幕の大スターとして活躍し、その三女の岡村矢尋が七代目清元延壽太夫と再婚して生まれたのが尾上右近です。兄の清元斎寿とは異父兄弟となります。
歌舞伎界の新プリンス・尾上右近とは
歌舞伎役役者・二代目尾上右近は、祖父譲りの凛々しい顔立ちと現代の若者らしいファッションセンスや素直に本音を晒す「ぶっちゃけキャラ」として、令和の時代に一番ブレイクしている若手歌舞伎役者です。
アイドル顔負けの人気役者としてだけでなく、歌舞伎の伝統をしっかりと受け継ぎながら、新しい歌舞伎の表現にも挑戦していく尾上右近の素顔を紹介します。
歌舞伎の名門音羽屋期待の若手役者
歌舞伎役者・尾上右近の経歴を以下にまとめました。
生年月日 |
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平成4年(1992年)5月28日 |
本名 |
岡村 研佑 |
ニックネーム |
ケンケン |
屋号 |
音羽屋 |
家紋(定紋) |
重ね扇に抱き柏 |
初舞台 |
平成12年(2000年)4月 「舞鶴雪月花」松虫役 本名・岡村研佑 |
襲名歴 |
平成17年(2005年)1月 尾上右近(二代目) |
主な役 |
「石切梶原」 梢 「大蔵譚」 お京 「天守物語」 亀姫 「小栗判官」 照手姫 「吉野山」 忠信 「春興鏡獅子」 「仮名手本忠臣蔵」 勘平 「神霊矢口渡」 お舟 「封印切」 忠兵衛 「二人椀久」 久兵衛 「スーパー歌舞伎II ワンピース」 ルフィ 「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ」 アスベル 「十六夜清心」 清元・出語り |
尾上右近は、「歌舞伎の神様」とも呼ばれた六代目尾上菊五郎、昭和の大スター・鶴田浩二、清元の名門家元・延壽太夫の三つの血を受け継いだ、歌舞伎役者を称賛するときに必要とされる「声、顔、姿」のすべてを備えた逸材です。主に女形から始まりましたが、今では男性の立役もこなすようになっています。
父が歌舞伎音楽の清元なので、本来は清元になるための稽古をするはずでした。
ところが、3歳のときにドキュメンタリー映画の中で「鏡獅子」を踊る曽祖父・六代目尾上菊五郎の姿を見て、自分もあのように踊りたいと思ったことから日本舞踊の稽古を始め、同時に清元の稽古もするようになり歌舞伎役者と清元の二刀流という道を歩み始めます。
平成12年(2000年)の初舞台から切れのいい舞踊を見せて将来を期待されますが、当時は「歌舞伎役者でない父親の子」ということから、他の名門役者の子弟たちほど注目されず、所属する音羽屋の菊五郎劇団ではなかなか役が回ってこない状況でした。
そんな尾上右近に注目したのが、当代最高の女形・坂東玉三郎です。平成26年(2014年)歌舞伎座の「天守物語」で、玉三郎が「富姫」を演じたときに、妹分に当たる「亀姫」に尾上右近が抜擢されました。
玉三郎の「天守物語」での「亀姫」役というのは、いわば未来の立女形への登竜門とも言える役です。これまでも、中村時蔵、中村雀右衛門、尾上菊之助、中村春猿(現・河合雪之丞)、中村勘九郎といった錚々たるメンバーが勤めており、尾上右近もこの列に加わることになるのです。
そして、尾上右近自身も自ら歌舞伎役者としての道を切り開くために、平成27年(2015年)から自主公演「研の會」をスタートさせます。
自主公演とは役者が自分で劇場を借り、スタッフを雇って上演するものです。もしも公演が失敗すると経済的に大きな損をすることになるので、かなりの覚悟が必要になりますが、尾上右近はまだ20代の若さで見事に成功を収めます。その後も「研の會」は続いて、2019年の第五回まで行われており、役者としてだけでなくプロデューサーとしての能力の高さも見せています。
さらに、尾上右近の名を世に知らしめたのが、「スーパー歌舞伎II(セカンド) ワンピース」です。平成27年(2015年)に初演されたときは尾上右近は出演していませんでしたが、平成29年(2017年)には市川猿之助演じる主役のルフィを、3日に一度の割合でマチネ(午前中)に演じることになります。
ところが、主演の猿之助が公演三日目に左腕骨折という重傷を負ったため、以後の公演は尾上右近が代役としてルフィを演じることになり、これが大当たりとなるのです。
令和2年(2020年)の今、歌舞伎役者としてはまだまだ若い28歳の尾上右近の今後の活躍にますます期待が高まります!
テレビのバラエティの中で、尾上右近は子供のときから顔の幅が狭く面長なのをコンプレックスに感じていると話しており、そのことを市川猿之助(屋号・澤瀉屋)から、「面長屋」と呼ばれいじられているとか。そのうち、歌舞伎の舞台で「面長屋!」と大向うの掛け声がかかるかもしれませんね。
浄瑠璃と役者の二刀流の使い手
尾上右近は歌舞伎役者だけでなく、父親から受け継いだ歌舞伎伴奏音楽の清元・浄瑠璃の唄い手、七代目清元栄壽太夫としても活躍しています。
清元とは歌舞伎の伝統的な伴奏音楽では一番新しい部類になります。高音の派手な語りと繊細な節回しに特徴があり、遊び心にも溢れています。高い裏声や鼻音を使った技巧的な発声方法にも特徴があります。
歌舞伎役者が歌舞伎音楽の中でも語りを特徴とする「義太夫」を練習することはありますが、実際に歌舞伎音楽の唄い手にもなるのは400年の歌舞伎の歴史でも前例がなく、尾上右近は役者と清元の二刀流を使いこなすという稀有な人材でもあるのです。
祖父の俳優・鶴田浩二は歌手としても活躍しますが、その歌唱法には独特のものがありました。その血を受け継ぐ尾上右近には特徴的な「清元」の音楽はうってつけなのかもしれませんね。
歌舞伎界一のカレー好き
尾上右近を語るときに外せないものの一つに、歌舞伎界一のカレー好きということがあります。
ことあるごとにカレーへの愛を語り、なんと年間のカレー食数は360食! 一日に5食食べることもあるというほどのカレー好きが高じて、自ら監修した「ケンケンカレー」という、「ウコン入り」のレトルトカレーを作って自主公演で販売してしまうほどです。
カレーに対するこだわりは凄まじく、「カレーとちゃんと向き合った時間を過ごしたい」ということで食べている間はあまり喋りたくない。カレーをしっかり味わうために水は飲まないという徹底ぶり。
そしてカレーうどんやカレーせんべいなどは「カレーを転用している」として好きではないそうです。
そんな尾上右近をカレーに目覚めさせたのが、歌舞伎座のそばにあるインド料理店「ナイルレストラン」です。
子供のときから通っていてカレーにハマるきっかけになったそうですが、テレビ番組ではナイルレストランについて、「ナイルの匂い、ナイル臭が街に漂っているんです。その香りをかいでしまうと吸い寄せられるように店に入ってしまうというのがいつものルーティンになっております。」と語っているほどです。
ちなみに、一番人気の「ムルギーランチ」に「チキンマサラ」を投入して食べるのがおすすめだとか。
次回の自主公演に向けて新しいカレーを開発中とのことです。ファンならぜひ右近こだわりのカレーを一度は食べておきたいものですね。
バラエティで堂々とマザコン話を披露
尾上右近の兄貴分にあたる尾上松也によると、「尾上右近は歌舞伎界一の超マザコン」だとか。これは本人も否定しないどころか、マザコンエピソードをテレビで堂々と語っています。
例をあげると、
- 毎日母親とハグをする
- 母親に服のコーディネートを確認してもらう
- 母親に自分の恋愛の話を聞いてもらう
- 彼女ができたら母親に必ず紹介する
などがあり、20歳を超えた男性とは思えないほどの母親との仲の良すぎる関係が「マザコン」と言われる所以のようです。
しかし、尾上右近本人はそう言われることをそれほど気にしているようには見えず、むしろ母親との仲の良さを嬉しそうに語っています。
そういうネガティブに思われそうなところも包み隠さず話せるところが、かえって魅力的に映るのかもしれませんね。
尾上右近の結婚相手の条件は?
歌舞伎役者の妻は、「梨園(歌舞伎界)」という特殊な世界に嫁ぐことになるので、いろいろと大変なことも多いようですが、尾上右近の結婚相手となると、さらにハードルが上がるようです。
まず第一に、「右近のカレー好きを理解できる」ことが必要であり、そしてそれ以上に「右近のマザコンを受け入れる」必要があるのです。
堀越高校時代の親友である布川隼汰(布川敏和の息子)が、テレビ番組「ダウンタウンなう」で語った話によると、実際に尾上右近が付き合った女性は、ことごとく母親の壁に阻まれて別れることになったそうです。
さらに、高校時代の恋愛エピソードとして、現在は女優として活躍する河北麻友子に告白して振られてしまったこともバラされ、「めちゃめちゃ泣いた」とコメントしています。他にも同級生で有名女優になった女の子に告白したという話なども暴露されています。
尾上右近の結婚相手探しは、これからも当分は続くことになりそうですね。
河北麻友子に告白してふられたという話を勝手に話していることを、テレビのバラエティ番組で河北麻友子本人から批判されてしまいましたが、右近自身はあくまでも「いい思い出」と思っており、また高校時代のように親友に戻れると思っていると話しています。このあまりにもポジティブすぎる姿勢には河北麻友子もあきれていました。
尾上右近が切り開く新しい歌舞伎
尾上右近の活躍の舞台は歌舞伎だけでなく、様々なメディアに広がっています。
新型コロナウイルスの影響で歌舞伎の公演が中止になってからは、Youtubeの公式チャンネル「歌舞伎人 尾上右近」を開設し、これまで自主公演で行ってきた歌舞伎の舞台を配信しています。
また、中村壱太郎が中心になって作り上げた新しい魅せるアートな舞踊、ART歌舞伎に出演し、「踊り」と「魅せる」ことに特化した舞台を動画配信という形で公開しました。
他にはNHKラジオの「KABUKI TUNE」ではパーソナリティを勤め、婦人向けファッション雑誌「eclat(エクラ)」では「歌舞伎はモダンだ!!」のタイトルで連載を持ち、日本の文化を紹介する雑誌「和樂」でも「尾上右近の日本文化入門」を連載しています。
2020年7月からは初のミュージカルとなる「ジャージー・ボーイズ イン コンサート」へ出演し、2021年7月には二度目のミュージカルとなる「ミュージカル『衛生』リズム&バキューム」に、古田新太とのダブル主演で出演します。
2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」では、孝明天皇役で登場し、同年公開の映画「燃えよ剣」では松平容保役で映画初出演を果たしました。尾上右近の表現する世界はさらに広がっています。
尾上右近の公演情報
尾上右近(清元栄壽太夫)の今後の歌舞伎公演情報です。
歌舞伎座 「團菊祭五月大歌舞伎」
2024年5月に歌舞伎座で開催される「團菊祭五月大歌舞伎」に尾上右近が出演します。
偉大な曽祖父・六代目尾上菊五郎と祖父・鶴田浩二とは?
尾上右近のルーツである、曽祖父・六代目尾上菊五郎と祖父・鶴田浩二の経歴や業績について紹介します。
六代目尾上菊五郎とは?
尾上右近の父方の曽祖父にあたるのが、大正から昭和初期に歌舞伎の名優として一時代を築いた六代目尾上菊五郎です。
明治18年(1885年)に五代目尾上菊五郎の長男として生まれ、7歳で尾上丑之助を名乗って劇聖と称された九代目市川團十郎と共演します。13歳のときにその團十郎に師事して舞踊を仕込まれます。19歳のときに父・五代目菊五郎が亡くなると、團十郎が後見となって六代目尾上菊五郎を襲名します。
父・五代目菊五郎と九代目團十郎の芸を受けついだ上に、芸に対する追求心が強く、型や役柄を徹底的に研究してリアリズムを表現した演技が特徴です。初代中村吉右衛門とはよきライバルで、その関係は「菊吉」と称されています。
後進の育成のために日本俳優学校を創設して校長を勤めるなど歌舞伎の発展のために尽力し、昭和24年に63歳で亡くなります。歌舞伎役者で「六代目」とだけ呼ばれるときは、この六代目尾上菊五郎のことを指して言うほど有名です。
昭和の名優・鶴田浩二とは?
尾上右近の母方の祖父・鶴田浩二は、1924年生まれの昭和を代表する映画スターであり、数多くの映画やドラマに主演し、歌手としても数々のヒット作を残しました。
甘いマスクと翳りを備えた風貌は当時の俳優の中でも抜群で、またたく間にトップスターになります。デビュー当初は女性好みの顔立ちで、アイドル的な人気を集めましたが、年を経るほどに円熟味を増し、任侠映画や戦争映画で男の渋さで魅せ、日本映画を代表する大スターとして多くの作品を残しました。
歌手としても独特の歌唱法と哀愁を感じさせる声で高い人気を誇っています。
また、元海軍軍人であり、戦後の戦没者の遺骨収集に力を尽くすなどの一面も見せています。
まとめ:新時代の歌舞伎役者・尾上右近から目が離せない
歌舞伎役者・尾上右近の家系図から、歌舞伎界のサラブレッドとも言える経歴を紹介してきました。
曽祖父は「歌舞伎の神様」六代目尾上菊五郎、祖父は昭和の大スター鶴田浩二という、まさにスターになるために生まれてきたような血筋ですが、歌舞伎の世界で活躍するためには決して簡単な道のりではありませんでした。
歌舞伎役者と清元の珍しい二刀流で活躍し、自主公演の「研の會」を開催し、スーパー歌舞伎IIワンピースでは怪我をした市川猿之助の穴を埋める活躍を見せるなど、血筋だけでなく積極的にチャンスを掴んで現在の人気者の地位を獲得してきたのです。
テレビのバラエティ番組では、「マザコン」「カレー好き」などの独特な個性と飾らないキャラクターが受けて、ますます出番が増えていくでしょう。
ART歌舞伎などの動画配信やミュージカルにも挑戦するなど、新しい歌舞伎のプリンス・尾上右近の活躍の舞台がますます広がっていくのは間違いありませんね。