【初心者必見】初めてでも大丈夫!歌舞伎の楽しみ方を徹底解説
初めて歌舞伎を見に行く人にとっては、どういう楽しみ方があるのか気になるところではないでしょうか。
この記事では初心者の方でも簡単にわかる、歌舞伎の楽しみ方について、一年中歌舞伎公演が行われている「歌舞伎座」をメインに解説していきます。
先日、歌舞伎座を観劇してきた私が解説する最新の情報です。はじめての歌舞伎座観劇の参考にしてください。
目 次
初めての歌舞伎の楽しみ方10のポイント
初めての人でも、次の10のポイントを押さえておけば、十分歌舞伎を楽しむことができますよ! 気になるところをチェックしてくださいね。
自分に合った席を選ぶ
歌舞伎座の座席は1等席や一幕見席など様々な種類があるので、どの席で見るのがいいのか初心者の人にはちょっとわかりにくいですね。わかりやすいように一覧にしてみました。
- 1階桟敷席(20,000円)
花道が目の前に見られ、舞台にも近い。二人掛けでテーブルがある。お茶セットなどもつく。他のお客さんからも見られる特別な席。 - 1等席(18,000円)
舞台に近く正面から見られる席も多い。花道もよく見える。歌舞伎座で最も多い座席。 - 2等席(14,000円)
1等席の後ろ側になる席。舞台からは少し離れるが、花道はほぼ全て見られる。 - 3階A席(6,000円)
舞台から少し遠くなる席。花道は全部は見えないが、席によってはよく見える。 - 3階B席(4,000円)
3階A席の後ろになり舞台から遠い。花道は七三(※)がやっと見えるくらい。 - 一幕見席(500〜2,000円)
一幕だけ見られる席。舞台からもっとも遠く花道は七三がぎりぎり見える。
予約できないので当日並ばないといけない。売店などは利用できない。
この中で初心者の人におすすめなのは、花道が見えて値段もそれほど高くない3階A席の東側(舞台向かって右側)の前から3列目までの席です。
今回は私も3階A席の前から2列目で観劇してきましたが、舞台全体が見渡せて花道での演技もけっこう見ることができました。座席図の位置は下のようになります。
東側に張り出した席は花道がよく見えるので狙い目ですが、人気があるので予約するのは少し難しいかもしれません。3階A席でも3列目ぐらいまでは花道も全部ではありませんが見ることができます。
幕間には館内の売店も利用できるし、展示されている美術品や役者の写真なども見ることができるので、4時間の長丁場でも十分楽しめるでしょう。
一幕見席は値段が一番手頃ですが、並ばないとチケットが買えなかったり、遠いので舞台が見えにくく、花道は七三がやっと見えるくらいです。館内の売店なども使えないので、歌舞伎に慣れていない初心者にとってはあまり楽しめないかもしれません。
とは言っても、観劇の仕方はそれぞれなので、いろいろな席を試してみながら、自分に一番あった席を見つけてみてくださいね。
季節に合わせた服装で行く
歌舞伎観劇に特別なドレスコードはありませんが、着物で見に来られる方も多いのは事実です。雰囲気を壊さないためにも、あまりラフすぎる服装はさけたほうがいいでしょう。
でも公演は4時間を超える長丁場になるので、座っていても疲れない楽な服装
を基本に考えるのがいいですね。
また、当然エアコンは入っていますが、人によって暑さ寒さの感じ方に違いがあるので、温度調節しやすいように工夫しましょう。
10月に公演を見たときは私は寒いと感じましたが、一緒に行った友人は暑かったと言っていました。夏場でもエアコン対策で長袖を一着持ってくる。冬場ならひざ掛け(歌舞伎座で貸し出し有り)を準備して寒さに備える。そういったちょっとした準備で、暑さ寒さをあまり気にせず歌舞伎観劇を楽しめます。
座席でお弁当を食べる
歌舞伎観劇の楽しみに食事があります。昼の部、夜の部ともに30分以上の休憩があるので、食べたい方はそのときに食事をとりましょう。
弁当は歌舞伎座の中で買ったものでも外で買ってきたものでもかまいません。
座席で座って食べるのもいいのですが、桟敷席以外はテーブルなどはないので、膝の上に乗せて食べることになります。これは慣れていないとちょっと大変かもしれません。
ロビーのほうに行くと数は少ないですがソファや立食用のテーブルも準備されています。
座席で食べにくい人や座りっぱなしで疲れる人は、そういうところも利用するといいでしょう。
あらすじを予習しておく
初めて見る人でもあらすじがだいたいつかめていれば、セリフが聞き取りにくくてもけっこう内容を理解できます。公演のチラシの裏にあらすじが簡単に書いてあるので、始まる前に見ておきましょう。チラシは劇場内で探せばすぐ見つかりますが、係員の方に聞くと親切に教えてくれます。
筋書きを購入すればもっと詳しい内容や、出演する役者さんのインタビューなども載っています。1,300円と少し値段はしますが、記念に購入してみるのもいいでしょう。
他にも松竹歌舞伎会(年会費3,000円)に入ると、毎月送られてくる会報誌「ほうおう」に掲載されているあらすじを読むことができます。
初心者向けの演目を選ぶ
初心者でも比較的見やすいのが「舞踊劇」です。
踊りと音楽がメインなので、話の内容がよくわからなくても見ているだけで歌舞伎の魅力を存分に堪能できます。
有名なものに、
- 連獅子(れんじし)
- 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
などの獅子物があります。
床までつく長い髪の毛を豪快に振り回す様子が、歌舞伎の特徴的なシーンとして知られています。
また、「歌舞伎十八番」とよばれる市川團十郎家のおはこの演目では、
- 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
- 暫(しばらく)
- 毛抜(けぬき)
などは登場人物の個性が際立ち、見ていてとても面白いですね。
歌舞伎十八番についてもっと詳しく知りたい方はコチラを御覧ください。
他には「世話物」と呼ばれる演目では、話し言葉も現代とほぼ同じです。普通の演劇を見るのと同じように楽しめるので、初めての人には見やすい芝居です。
変わったところでは「ワンピース」などの漫画を題材にした「スーパー歌舞伎」や新作歌舞伎で「風の谷のナウシカ」が上演されたりしました。歌舞伎の初心者でも知っている漫画が題材のものであれば、ストーリーや登場人物がわかるので、結構楽しめるのではないでしょうか。
チケットはインターネットで取る
チケットは電話でも予約できますが、座席表を見ながら空いている席を指定できる、ネット予約がおすすめです。
松竹歌舞伎会会員になると、一般より早く購入できるようになるので、少しでもいい席で見たい方は入会を検討してみるのもいいでしょう。
イヤホンガイドを借りる
イヤホンガイドは公演のポイントを的確にガイドしてくれるので、初心者の方にはオススメです。
出てきた人物が誰なのかや、出来事の背景に何があったのかなども、芝居の邪魔にならないように、うまい具合に解説してくれます。値段は保証金1000円がかかりますが、700円で借りられます。
まだ歌舞伎に慣れていない最初の頃は、観劇を楽しむための必須アイテムです。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から歌舞伎座では再開後もイヤホンガイドの貸し出しはしておりませんでしたが、2020年9月の公演から貸し出しを再開しました。詳しくは以下の公式サイトの情報をご確認ください。
>>イヤホンガイド、歌舞伎座「九月大歌舞伎」貸出再開および観劇ポイント講座配信のお知らせ
歌舞伎座の中を楽しむ
歌舞伎座は2013年に現在のものに建て替えられましたが、中には歌舞伎の芝居を観る以外に楽しめるものがたくさんあります。
歌舞伎を体験できる歌舞伎座ギャラリーや、リラックスできる屋上庭園、歴史や写真を展示したギャラリー回廊、様々な歌舞伎グッズをあつかうお土産屋や、歌舞伎役者のトークショーが行われるカフェなど、芝居を見なくても歌舞伎を楽しめるようになっています。
観劇以外でも楽しめる歌舞伎座の魅力を堪能してみてくださいね。
知ってる役者の公演を観る
知っている役者さんの公演を見るのも、歌舞伎の楽しみ方の一つです。
テレビや映画でも有名な市川海老蔵や中村獅童、イケメンで人気のある尾上松也や中村隼人、俳優の香川照之としてのほうが有名な市川中車、鬼平犯科帳の鬼平こと中村吉右衛門、ミュージカルや大河ドラマでも活躍する松本白鴎、女形の最高峰・坂東玉三郎に飛躍著しい女形・中村七之助、藤原紀香の旦那としても有名な片岡愛之助などなど。
歌舞伎には詳しくなくても、名前を聞いたことがある役者さんはいるはずですよ。知ってる役者さんのいつもとは違った面を見られるのも歌舞伎ならではの楽しみですね。
観劇のマナーを守る
どんなに楽しく歌舞伎を見ていても、マナーを守らない人がまわりにいると台無しになってしまいます。
最低限のマナーとして、
- お菓子の袋などガサゴソと物音をたてない
- 携帯電話は電源を切る
- 後ろの人のじゃまになるので前に乗り出さない
これぐらいは守ってお互いに気持ちよく観劇できるようにしてくださいね。
歌舞伎観劇のマナーについては以下のページも参考にしてください。
まとめ
初心者でもわかりやすい歌舞伎の楽しみ方の10のポイントを解説してきましたがいかがでしょうか。
座席は値段がそれなりに手頃でゆっくり感激できる3階A席がおすすめです。服装は楽なカジュアルでも大丈夫ですが、季節に合わせて寒暖を調整できるものがいいですね。座席でお弁当を食べることもできますが、マナーを守って他のお客さんに迷惑にならないように観劇しましょう。
チケットはインターネットで簡単に購入できるし、筋書きやイヤホンガイドがあれば、芝居の内容もよくわかります。人気のある演目や知っている役者さんがいれば、さらに楽しめると思います。
まずは一度観劇してみて、実際に歌舞伎がどんなものかを体験してみてくださいね。