【観劇記】2026年7月歌舞伎座「七月大歌舞伎」昼の部 〜松也・幸四郎・まるるが魅せた、それぞれの覚悟〜

2026年7月3日、🎭歌舞伎座で開催された『七月大歌舞伎』昼の部を観劇してまいりました✨
今月の歌舞伎座は、片岡仁左衛門が49年ぶりに7月公演へ出演し、尾上松也とのダブルキャストが実現。また、市川幸四郎による『時今也桔梗旗揚』や、元禄忠臣蔵『御浜御殿綱豊卿』など、見応えある時代物が並ぶ公演となっています。
今回は、その「七月大歌舞伎」昼の部を観劇したミナミが、個人的に感じた見どころや感想を綴った「観劇記」です。どうぞ最後まで、ごゆっくりお付き合いください🍵
今回の公演の詳細については「歌舞伎美人」をご確認ください👇
➡️ 令和8年7月歌舞伎座「七月大歌舞伎」
☀️開演前 〜歌舞伎座……の前に、「もののけ姫」を偵察!〜

梅雨の曇り空の中、先週の「六月大歌舞伎」に続き、今週は「七月大歌舞伎」を観劇です✨
今月は23日に『もののけ姫』の観劇も控えているため、歌舞伎座は月初に訪れることにしました。いつも購入している筋書は、『もののけ姫』観劇後に歌舞伎座へ立ち寄り、写真入りになってから購入します。
モバイルSuicaを導入したおかげで、改札でもいちいちビュー・スイカカード出さずにスマホ一つでスイスイです🚇 丸ノ内線から日比谷線へ乗り継ぎ、10時前に東銀座へ到着。
さっそく歌舞伎座へ……向かうのではなく、本日初日を迎えた『もののけ姫』が上演される新橋演舞場へ! せっかくなので、話題の新作スーパー歌舞伎の盛況ぶりを偵察しておきましょう。
ところが、あれ? なんだか閑散としてるな。大看板の前にも人影はなく、なんか業者さんのトラックが作業しとる。
入口を見ると「本日昼の部は休演です」の表示が!
「まさか何かトラブルがあったのか?」と胸騒ぎを覚えつつ歌舞伎美人を確認すると……単に初日は「夜の部」からの上演だっただけでした。
もともと昼公演が予定されていないのに「休演」と書くのやめてほしい(笑)。まあ、人のいない大看板をゆっくり撮影できたので良しとしましょう。
ということで、気を取り直していざ歌舞伎座へ!🎭
🪭『末広がり』〜イケメン二人による、ほのぼの舞踊劇〜😊

今回は筋書を購入していないため、演目の詳しい解説は省略しますが、幕開きは舞踊劇『末広がり』です。
登場するのは、歌舞伎イケメンランキングでも常に上位を争う中村隼人と市川染五郎の二人。
まずは松羽目の舞台に、染五郎演じる“大名”が登場。「末広がり」とやらを買いに行かせた太郎冠者の帰りを待っています。
そこへ花道から、傘を担いだ隼人演じる“太郎冠者”が登場。七三で踊りながら、「だまされて傘を買わされた」といったことを語り、なかなか舞台へやって来ません。
今日は前の席のおじさんの後頭部がちょうど重なってしまい、花道が少し見えづらかったのが残念でした(笑)。
ようやく舞台へ現れた太郎冠者ですが、大名から「それは末広がりではない」と指摘されても、「いや、これです!」と言い張って譲りません。
自分のミスを認めない典型的なダメ部下という感じですが、その一方で、傘を使って鞠を回すなど意外な芸を披露し、客席を楽しませます(笑)。
最後は大名もすっかり機嫌を直し、「それでは一緒に末広がりを買いに行こう」という流れで幕となりました。
“太郎冠者”と“大名”が出てくる松羽目の舞踊と言えば、『身替座禅』や『棒しばり』が有名ですが、『末広がり』は実にシンプルです。
やや物足りなさもありましたが、幕開きにゆっくり見られる舞踊劇でした。
⚔️『時今也桔梗旗揚』〜パワハラの果て、本能寺へ〜

次の演目は、『時今也桔梗旗揚』、通称『馬盥の光秀』と呼ばれる、“武智光秀”(明智光秀)が本能寺の変にいたるまでの物語です。
“光秀”を演じるのは松本幸四郎、“小田春永”(織田信長)は先月久々に歌舞伎座に帰ってきた尾上松也です。
この二人が殿とその配下という関係は、テレビドラマ『大富豪同心』を思い出しますね〜📺 あのときは松也が将軍で、幸四郎が家老でしたっけ。
ただし、『大富豪同心』ではうまくやっていた上下関係も、この舞台では壮絶なパワハラ関係になっています😅
出だしは酒宴の席に春永を迎えるところですが、光秀の妹“桔梗”(中村米吉)や腰元たちの頭の下げ方が、いつになく深々としています。怖くておいそれと顔を上げられない感じです。
花道の七三あたりに春永が現れます。三階席からは見えませんが、後ろに家臣がぞろぞろとついて来ている様子。“森蘭丸”を演じる市川染五郎の声も聞こえます。美少年として有名な“森蘭丸”を染五郎がどう演じるのか気になるところです。
ようやく春永が席につき、家来衆がずらりと並びますが、あれ? 染五郎はどこ?🤔 小姓姿の美少年が見当たりません。
変だなと思ったら、“春永”の一番近くにいる隈取りした派手なのが“森蘭丸”と判明!
顔の色こそ白塗りですが、いかにも荒事の悪人風情です。これが“森蘭丸”なの? 美少年設定どこいった!😂
なかなかの衝撃に唖然としておりましたが、反対の下手側でじっとうつむいている“桔梗”にも目が行きます。
兄がやらかしたことで肩身の狭い思いをしているのでしょうが、その悲哀を誘う姿がなんとも愛らしいのです🥹 可愛い女の子がこんな顔してたら、「どしたん、話聞こか?」って男なら言いたくなるレベルですよ、ホント。
そして呼び出される“光秀”。額の傷がなんとも生々しい。
心底反省している感じの“光秀”ですが、“春永”はひたすら“光秀”をいじめ続けます。
そしてサブタイトルにもある「馬盥」を使って光秀に酒を飲めと迫ります。このとき準備する腰元が、ちゃんと馬盥を拭いているのがなんか細かい✨
トドメに、かつて“光秀”が貧しかった時代、奥方の“皐月”が自らの髪を売って糊口をしのいだであろう「切り髪」を与えるという……。
これって、この場面では屈辱的な仕打ちですが、状況によっては妻の売った髪を取り戻してもらった、いい話にもなり得るのでは?🤔
「おまえの妻は髪の毛を売ってまでおまえを支えてくれたのだから、これを見て妻の献身を忘れず、これからも励めよ」
みたいな感じで、いい話になったかもしれないな〜などと思いました(笑)。
……とはいえ、ここではもっぱらパワハラの材料として使われているので、“光秀”は屈辱に震えます。そして、そのたびに“桔梗”も兄の心境を思って苦しむのでした。
それにしても、幸四郎はこういう耐える役「辛抱立役」が似合う男です✨ 昨年の『菅原伝授手習鑑』で“武部源蔵”を演じたのが記憶に新しいところ。
そして“春永”が他の者たちと出ていき、一人残される“光秀”。花道で妻の切り髪の箱を持って何を思う……? と、密かに“蘭丸”が様子をうかがっています!👀 “光秀”が見咎めるとすっと引っ込みますが、お互いに何を思うのか……不思議な場面でした。
自らの屋敷に戻った“光秀”は、やって来た“春永”の家臣たちの前で、ついに切腹することになります。
「時は今……」と辞世を詠んだと思いきや、いきなり名刀・日吉丸で春永の家臣たちを斬り倒す“光秀”!⚔️
ついに堪忍袋の緒が切れ、謀反の意を表します。
そこにやって来る“四王天但馬守”(市川團十郎)とともに見得を決め、三方を踏み潰します!💥 これ、『寿曽我対面』でも三方を潰す場面がありますが、怒りが頂点に達したことを表す演出なのですね。ちょっと三方が不憫(笑)
そして今までの冷静な姿から一転、不敵な高笑い。普段おとなしい人が怒ると怖い、その典型みたいな感じで幕となりました〜😆
なんか團十郎の登場のとき、拍手がなかったような……🤔 まあ、拍手しにくいタイミングではあったかな。
🏯『御浜御殿綱豊卿』〜仇討ちを支えた若き綱豊の器〜

次の演目は、元禄忠臣蔵『御浜御殿綱豊卿』です。真山青果による、明治以降に作られたいわゆる新歌舞伎です。
忠臣蔵が題材ですが、赤穂浪士の討ち入りそのものではなく、その周囲の人たちを描いたサイドストーリーというところですね。登場人物も「大石内蔵助」など史実に基づいた名前が使われています。
まずは「御浜御殿松の茶屋」から物語は始まります。
いきなりまるる(中村莟玉)“お喜世”登場!✨ 先月の博多座では凛々しい若武者ぶりを見せてくれましたが、今月は本業の女形で登場です。
“お喜世”は綱豊卿の愛妾という立場ですが、なんだかお局様たちに問い詰められている様子。
先ほどの“桔梗”もそうですが、可愛らしい女性はなんか意地悪されるのが歌舞伎あるある😅
そこへもっと偉い“江島”(片岡孝太郎)が登場し、“お喜世”を助けます。この「江島」って絵島生島事件の江島? まだ事件を起こす前の話か🤔
そしてここに登場するのが、“おいぬ某”の中村陽喜くん!✨ 先月は弟の夏幹くんが『子連れ狼』で父・中村獅童と大活躍。今月のハルくんは父のいない舞台で一人奮戦。さすがお兄ちゃんですね! とは言え、まだ8歳ですから、なんとも可愛らしい姿を披露してくれました。
そこへ現れたのが“綱豊卿”の尾上松也です。今月は片岡仁左衛門とのダブルキャストという大役を務めます。
先ほどは“春永”という暴君を演じ、ここでは鷹揚ながら思慮深い“綱豊卿”。さて、どうでしょうか?
“おいぬ某”に「お金持ってねーのかよ」と小馬鹿にされても笑い飛ばし、いかにも鷹揚な遊び人風情です。このへんは性に合っているようでもあり、バカ殿のようでもあり……でも、“お喜世”の肩を抱いて座る姿がなんかやらしい💢
思わず「離れろこのやろ〜」と石でも投げたい気分です(笑) まあ、あくまで私個人の見方ですが🤣
そして場面は替わり、“新井勘解由”(中村歌六)と座敷で二人きりになる“綱豊卿”。途端に真摯な表情になり、その隠していた本心を顕にします。
浅野家の御家再興よりも仇討ちをさせたいという秘めた思い。現代では考えにくい、武家としての生き方が問われる時代だったんですね。
“綱豊”本人も将軍職をめぐる渦中の人物です。そういや大河『べらぼう』でも将軍家の跡目をめぐって謀略が渦巻いてましたが、それはもっと後の時代のお話。
場面は進み、“富森助右衛門”こと中村隼人が“綱豊卿”と対面します。
お互いの本心を探り合う中、“助右衛門”のセリフについに“綱豊”もキレそうに!😳 その様子をハラハラしながら見ていた“お喜世”が懐剣を手に飛び出します。
「兄様、覚悟〜〜!」
う〜ん、まるる迫真の演技です👏
この場の三人、松也・隼人・莟玉は『新春浅草歌舞伎』などでもともに舞台に立ち、芝居の呼吸だけでなく気心も知れた仲です。今後も同じ舞台で息の合った芝居をぜひ見せてほしいところ。
特にまるるは、Aプロでの仁左衛門×幸四郎も目の前で見ることになるのですから、ぜひこれからの役者人生に活かしてもらいたいと、ファンとして切に願うものです😊
ラストは能舞台で吉良を待ち構える“助右衛門”。浅野家再興がなされると仇討ちができなくなるという焦りが、彼を突き動かします。
現れた能装束の人物に槍で撃ち掛かりますが、それは“綱豊”でした。
仇討ちのあるべき姿を諭され、涙する“助右衛門”。そして何事もなかったかのように悠然と去っていく“綱豊”。その器の大きさを感じさせる幕切れでした✨
いや〜Aプロの仁左衛門さんとも見比べてみたかったですね😊
🎭「七月大歌舞伎」昼の部を見終わって
今月は仁左衛門さんが49年ぶりに7月の歌舞伎座へ出演ということですが、大阪松竹座の閉館の影響が、このような形で出てくるとは思いませんでした。
松也とのダブルキャストも、単なる藝の継承というだけではなく、いろいろ複雑な事情があるのかな……と感じます🤔
昼の部の演目は、『末広がり』はともかく、『時今也桔梗旗揚』と『御浜御殿綱豊卿』は、時代設定こそ違いますが、どちらも追い詰められた人物が最後に武力へ訴えようとする展開になっています。
そのため、「この二作品を続けて上演するのはどうなんだろう?」と、ちょっと気になりました。
もちろん、毎回「舞踊・世話物・時代物」と三種類を並べればいいというものではありませんが、今回は少し内容が重なっている印象でしたね。
とは言え、実際の舞台はどちらも見応え十分✨ 『時今也桔梗旗揚』は私にとって初見の演目でもあり、米吉の“桔梗”や耐え忍ぶ“光秀”幸四郎が印象的でした。
また、『御浜御殿綱豊卿』では、松也の新たな可能性と、まるるの覚悟ある芝居が見られたのも収穫でした😊 ハルくんも可愛かったですしね。
そんなわけで、今回の歌舞伎座「七月大歌舞伎」昼の部観劇記も、このあたりでコレギリといたしとうございます。🎭
最後までお読みいただき、ありがとうございました!✨
また次回、『もののけ姫』の観劇記でお会いいたしましょう。🌿🐺








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